アイルランドのダブリンで開催中の SRECon19EMEA に来ています。
ダブリンは初めてで、気温をみて寒そう…とは思っていたのですが、10月頭でもう冬みたいな恰好をしている人が多いとは想像しておらず、 正直、外は寒いです(苦笑)
初日で一番面白かったのはGoogleの Todd Underwood さんの以下のセッションでしょうか。
All of Our ML Ideas Are Bad (and We Should Feel Bad)
MLを使って運用をラクにしたい…というのはけっこう誰でも考える話で、適用対象としては例えば以下のようなものがあるでしょう
- Categorizing/Prioritizing Tickets
- Root Cause Analysis
- Canary Analysis
しかし、実際に使ってみると...
- (MLよりも)もっといい方法ある
- データが足りない
- ラベル付きのデータが足りない
といった理由でうまくいかないことがよくあります。
Todd さんは、これは流行りのやり方を、深く考えずにそのまま使おうとするからだ…と言います。 よく言われる ML というのは、Marketing ML だと。
Todd さんのおすすめはこんなふうにまとめられます。
- Think
- あなたのアプリ、インフラ、お客さんをよく知る人に話を聞きましょう。
- そして、それらを理解するためのアイデアを出すためにブレストをしましょう。
- Gather
- まずはデータを一か所にあつめる。
- 整理してみないとなにもできないので、とにかく整理する。
- Learn
- まずは基本を押さえましょう。
- MLワークロードを動かすプラットフォームは既にたくさんあるので、こういうものを知りましょう。
- そして、集めたデータを使ってプロトタイプをやってみましょう。
もっと先まで踏み込む場合は
- Ontology
- Epistemology
- Metaphysics
の3点を挙げていました。用語は難しいですが、一言で言うと「自分の頭で本質をよく考えろ」ってことですね。 :) 具体的にこうしたらうまくいっているよ…という事例紹介ではありませんが、考え方として、私にはとても参考になったtalkでした。
Day1 だけでも他にもいろいろ興味深い講演がありました。 例えば、Network trouble の解析の紹介で、よく聞いてみたら eBPF でがんばってCloud Providerにも認めさせたぜ...という 「よくある」話だったりとか(笑) ぼちぼち更新しようかと思います。
Stay Tuned ! :)
2019/10/04 (Dublin現地時間)追記
SRECon19EMEA、無事に終了しました。 ハリケーンが来ていてアイルランド直撃が予測されいたのですが、大した影響なく済んでよかったです。
closing での主催者の話によると、今回の出席者は約700名とのこと。3月のNorth Americaでは4桁に届くでしょうか。
3日間終わってみての所感は、初日のkeynoteのLeverson教授の Systems Theory からはじまり、 Control Theory (制御理論)、Fault Tree Analysis といった、数十年前に確立された理論を振り返る話が多かったことです。 果ては一番最後のセッションが Formal Verification Method...ということで、Program Committee の心意気を感じたように思います。
私は主に Core Principle の Track に出ていました。具体的にこの手法でうまくいったよ…という話もあることはありましたが、 むしろ Silver Bullet はない。利用者のことをよく知り、自分の頭で考えるべし。ついてはその指針は…という話を多く聞くことができました。 現状の私には非常に参考になる話でした。
3月の SRECon '20 North America はスケジュールの都合で出席できないのですが、来年度もどれかのSREConに顔を出したいと思います。 :)